MMC3フラッシュカートリッジ基板

●パーツリスト
 最初にパーツが揃っているか確認して下さい。
 ※チップ部品は多めに入っている場合があります。
MMC3を取り外す為に使う低融点はんだを必要分入れてありますので使ってみて下さい。

パーツ種別シルク表記定数(記号)サイズ(mm)数量
基板1
フラッシュメモリCHR-ROM/PRG-ROM29F040TC-70TSSOP2
SRAMWRAM/CHR-RAMSOP2
ロジックIC(NAND)74VHC00SOP1
チップ抵抗R11kΩ(102)20121
チップ抵抗R2/R3/R4/R5orスイッチ基板10kΩ(103)20125
積層セラミックコンデンサC1220pF 50Vリード1
電解コンデンサC2/C322μF 50Vリード2
チップコンデンサC40.1μF16081
ダイオード1N4148リード2
バッテリーホルダーCR2032用1

●他に用意するパーツ
・CR2032電池(バックアップ機能を使わないのであれば必要ありません)
 バッテリーホルダーを使わずタブ付のモノを付けることも可能です。
 タブ無しのバッテリーに直接はんだ付けすることは危険ですので絶対にやめて下さい。
・MMC3が使用されているカートリッジ(NesCartDBで探して下さい)
 長く使われていたことも有りMMC3には様々なバージョンが存在します。
 さらにMMC3AやMMC3Bには判っているだけで内部仕様の違いが2種ずつ存在します(見た目も違います)
 書き込んだソフトが動くかどうかはソフトウェア側がどのように組んであるかによりますので一概にどれが良いとか後期(MMC3C)の方が良いとかはわかりません。
 私が調べた限り細かな刻印やパッケージの外観違いだけで12種あります。他にもあるかもしれません。
 取り外す前にカセットが動くかどうか確認して下さい。
・配線材
・CHR-ROM/RAN切り替え仕様にする場合はBAKUTEN工房さんのスイッチ取り付け基板と対応したスイッチが別途必要です。


●必要な工具
・先の細いはんだごてと細いはんだ
 好みはありますが先端はC型と呼ばれる円錐を斜めにカットした形状のものが扱いやすいです。
 はんだは0.6mmでも出来ない事は無いですがフラッシュメモリを付ける場合に一度に溶ける量が多すぎてブリッジしがちです。
 私は0.3mmのものを使っています。
・フラックスとフラックスリムーバー
 ヤニ入りはんだにもフラックスが含まれていますが、面実装部品を取り付ける為には別売のフラックスが必要です。
 最後に綺麗にするためにフラックスリムーバーも買っておきましょう。
 フラックスがべったり残ったままだときちんとはんだ付けがされているかの確認が難しいです。
 微細なはんだボールが飛んでいたりするので必ず綺麗にふきとりましょう。
 はんだボールが何かの拍子に動くと最初動いてたものが動かなくなる可能性があります。
 フラックスリムーバーの代わりに添加物の入っていない無水エタノールやIPA等も拭き取るのに使えます。
・ガッチリした肉厚のピンセットがあるとチップ部品を飛ばさずに済む確立が上がります。
 エンジニア 鉄腕ピンセット PT-16が実用かつお手頃価格なのでお勧めです。
 ピンセットは突き詰めると止めどなくお金がかかりますのでまずはこれ位のモノを使って見て下さい。
・MMC3カートリッジを開ける為のマイナスドライバー
 マイナスドライバーでなくても構いませんが一番お手軽だと思います。
・MMC3チップを基板から外す為の低融点はんだもしくはホットエアガンorステーション等が必要です。
 低融点はんだはオマケで入れてありますので使い方などはググって下さい。
 国産のホットエアステーションは万円超なので手を出し辛いのですが最近中国製の安いのが使ってみて良かったので検討してもよいかもしれません。
 私の使っているのはこれです。
 W.E.R 858D
・その他電子工作に必要な工具類(ニッパーやラジオペンチなど)
・kazzoとフラッシュメモリのプロファイル
 組み立てには特に関係ありませんが新品のフラッシュメモリには当然なにも書き込まれていないのでライターであるkazzoが無いと意味がありません。
 色んな方が作って販売されていますが、私のキットも家電のケンちゃんにて取り扱っていただいております。
 完成品が欲しい場合は受注生産になりますが、BOOTHで受け付けております。
 kazzoをWindows10(x64だけ?Proだけ?)で使用するには工夫が必要みたいですが他のサイトで散々解説されていますのでここでは触れません。
 使用するフラッシュメモリ毎にプロファイルが必要です。このキットにはAM29F040Bのプロファイルを使います。


●あると便利な工具
・ヘッドルーペ
 細かい作業をする時には据え置き型のルーペや実体顕微鏡などを使いますが、頭を動かしても大丈夫な事からヘッドルーペをお勧めします。
 当然既に細かい作業用にルーペを持っているのでしたら慣れているものでも構いません。
・ルーペ(x10程度のもの)
 はんだが上手く付いているかどうか確認するにはこの程度の倍率のものが必要です。
・綿棒・爪楊枝など
 綿棒はフラックスを拭き取るときに使います。
 爪楊枝の代わりにピンセットでも構わないのですがフラックスがピンセットの先に付いてしまうので使い捨てる爪楊枝が便利です。


●前準備
 MMC3チップとダイオードを元のカセット基板から取り外します。
 バッテリーバックアップ付のカセットの場合はバッテリーに熱を加えるのは危険ですので先にニッパーなどで取り外しておきます。




●組み立てる仕様を選ぶ
 2種の固定仕様と切り替えスイッチ付仕様、さらにそれぞれセーブ領域のメモリバックアップ回路を付けるかどうか選べます。
 スイッチとスイッチ基板が2系統、フラッシュメモリ2個/SRAM2個を取り付けることによってカートリッジの仕様を切り替えて使う事が出来ます。
 色んなパターンに対応出来るようやや複雑になっていますので組み立てる仕様によって実装する部品の違いをよく読んで下さい。


 1) CHR-ROM 仕様(写真はバックアップ回路有り)



  反対側には何も部品を取り付けません。
  CHR-ROM/CHR-RAM切り替え仕様にする場合以外は両方取り付けないで下さい。
  両方取り付けた後に変更する場合はCHR-ROMとCHR-RAMにそれぞれ適宜プルアップ抵抗をつけ片方が機能しないようにする必要があります。
  (わからない場合はR5を外してスイッチ基板をつけましょう)



 2) CHR-RAM 仕様(写真はバックアップ回路無し)






 3) CHR-ROM/CHR-RAM切り替え&バッテリーバックアップのOn/Off切り替え機能付





 4) バッテリーバックアップの有無


  赤で囲った部分はバッテリーバックアップ機能の為のパーツです。
  ジャンパをOff側にすれば機能しませんので取り付けた後にジャンパを変更することでも切り替え可能です。



●組み立てる順番


【 1.MMC3 】


 中古のカートリッジより取り出したMMC3チップを外して、本基板に実装します。
 面実装部品の取り付けに慣れていない方は後述の「多ピン面実装部品の取り付け方」を先にご覧下さい。

 MMC3のリビジョンによっては1番ピンを表すマークが判り辛い(関係無い丸いモールドが付いていたりする)ので文字の向きを見ると良いと思います。
 横向きに付くことになります。右側が上になります。


【 2.フラッシュメモリ 】


 はんだ付けで一番苦労するのがこの0.5mmピッチのフラッシュメモリだと思います。
 向きを間違えないように。
 ※CHR-RAM仕様専用にする場合は左側のCHR-ROMを取り付けないで下さい。
 CHR-ROM仕様、CHR-ROM/CHR-RAM切り替え仕様にする場合は取り付けます。



【3.書き込みテスト】


 書き込み出来るかどうかはこの段階でテスト出来ますのでkazzoで書き込んでみます。
 ジャンパ部のランドをはんだブリッジを利用して繋げます。
 故意にはんだブリッジさせる場合は0.3mmのはんだを供給し続けると、同時に延々フラックスが追加されてしまいますのである程度の量を盛ったら
 はんだゴテのみで少し長めに熱を加えてフラックスを飛ばします。そのうちブリッジします。
 (これは狭いピッチのはんだ付けをする場合にブリッジさせない為にフラックスが必要である事の裏返しです)
 CHR-RAM仕様を作る場合はジャンパはCHR-RAM側へ設定しCHR-ROMだけ書き込みテストをします。
 CHR-ROM仕様の場合はCHR-ROMへ設定しPRG-ROM/CHR-ROMへ書き込みテストをします。
 CHR-ROM/RAM切り替え仕様の場合もCHR-ROM側へジャンパをショートさせます(後で配線するときに外します)



【 4.SRAM(WRAM)とロジックIC 】


 次にWRAMとロジックICを取り付けます。
 ※CHR-RAMは裏側になるので後で取り付けます。



【 5.チップ抵抗/チップコンデンサ 】


 仕様によって取り付ける部品が違います。
 バッテリーバックアップの有無
[写真6-NoBat]
[写真6-Bat]
 CHR-ROM仕様
[写真6-1]
 CHR-RAM仕様
[写真6-2]
 CHR-ROM/CHR-RAM切り替え仕様
[写真6-3]
 ※R5はCHR-ROMもしくはCHR-RAM専用にする場合には取り付けますが、切り替え出来るようにする場合はスイッチ基板側に取り付けます。
 切り替え仕様にする場合はR5には抵抗を取り付けないで下さい。


【 6.SRAM(CHR-RAM) 】


 基板の裏面(カートリッジFront側)へCHR-RAMを取り付けます。
 ※CHR-ROM仕様の場合は取り付けません。

 裏側なので安定しないですが何かを台にすれば楽になります。



【 7.ジャンパ/切り替えスイッチへの配線 】


 切り替え仕様にする場合はこの端子からスイッチ基板へ配線します。
 特定の仕様に固定する場合ははんだで隣とショートさせます。
 間隔が狭いので不必要な方向へブリッジしないように注意して下さい。
 配線が終ったらテスターでショートしていないか調べることをお勧めします。


【 8.リード部品、バッテリーホルダー 】


 バッテリーバックアップ回路用のダイオードはMMC3基板より取り外します。R1の定数は元のカートリッジの数値に合わせてあります。
 1N4148でも構いませんがその場合はR1はコンデンサの余った足等でショートさせて下さい。この組み合わせで2ヶ月程度はバッテリーがもちました。
 最大どのくらいの期間持つかはきちんと計算すれば求められるのでしょうが、自信が無いのとバッテリーによって変わってくるのでやっていません。
 エッジコネクタを下に向けて下側のダイオードは付属品(1N4148)を使用して下さい。
 電解コンデンサは回路の安定に寄与する部品で無くても一応動作しますがかならず付けて下さい。
 附属のバッテリーホルダーは面実装用のパーツですが足を起こしてはんだ付けします。
 足は大変折れやすいので慎重に作業して下さい。
[バッテリーホルダー写真]
 積層セラミックコンデンサ以外は全て極性がありますので注意。


【 9.切り替えスイッチの取り付け 】


 切り替え仕様やバッテリーバックアップのON/OFFスイッチの基板の作成と配線


【 10.ケースへの組み込み 】


 ケースに組み込んで完成です。(FrontやRearの表記がシルクで印刷されています。)
 ケースはNTD社純正にのみ対応しています。


■多ピン面実装部品の取り付け方■
 取り付け方のコツを写真と文章で説明するのは難しいのですが…
 1)基板のランド(はんだ付けをする場所)へフラックスを塗る。
 2)真上から見てきっちり位置を合わせる。
 3)1番ピンのみ軽くはんだ付け。
  利き手によってどこか角の一つのピンならどれでも良いです。
  私の場合右利きではんだゴテを右手で持ちますので右側ピンの方がやりやすいです。
 4)対角側のピンをはんだ付けします。
  かならず位置がずれていないか確認しましょう。
  位置がずれていた場合はまだリカバリーが効きますので再調整。
  少しくらいならはんだを当てずに爪楊枝などで押して調整しても大丈夫と思いますが心配でしたら一度外します。
 5)最後の確認
  再度位置があっているか確認します。
  ずれていた場合は3で付けたピンかその対角ピンのみにはんだゴテをあてピンセットや針状のもの(爪楊枝でもOK)などで微調整をします。
 6)確実に位置が合わせられ仮止め出来たことを確認したら残りのピンをはんだ付けします。
  フラックスが足りない場合は追加で塗って下さい。フラックスが足りていないと隣のピンとブリッジしやすくなります。
  ブリッジしてしまった場合はフラックス追加しはんだゴテの先を綺麗にしてからこてですくい取るように動かすと修正出来る場合があります。
  あまりにも沢山はんだがつきすぎた場合ははんだ吸い取り線を使って余分なはんだを吸い取ります。
  はんだ吸い取り線は編んだ銅線にフラックスを染み込ませたものですので銅線とフラックスがあれば代用も出来ます。



 ※他のキットの作り方にもコツとかヒントが書いてありますので上部サポートメニューからMMC5基板やRaSCSI基板の組み立て方もあわせて覧下さい。